腸内フローラ

プロバイオティクス研究史

@「ヨーグルト不老長寿説」以前のヨーグルト研究の歩み
健康作用が研究対象とされるようになったのはこの100年ほどのことです。先駆者として知られるのは、「ヨーグルト不老長寿説」を説いたロシアの生物学者イリヤ・メチニコフ(1845〜1916)でしょう。ノーベル賞受賞者。彼は、腸内細菌が産出する腐敗物質が自家中毒を起こすことで老化を促される」と考えたのです。そして、腸内腐敗を抑えるのは乳酸菌そのもではなく、乳酸菌によって生成された別の物質である。老化を食い止め、健康長寿を実現するには、この乳酸菌の生成物を取り入れるべきである」と論じています。


ヨーグルトの乳酸菌は、確かに腸に届かないかもしれない。しかし、腸内フローラを改善する何らかの働きはあるはず。

 

ヨーグルトに含まれるビフィズス菌の働きは加熱殺菌しても失われるものではないという点を明らかにしてきましたが、後年、100年前のメエチニコフの著書でこれと同じ内容が言及されています。しかも無脂肪のヨーグルトを毎日300〜500ml摂ると整腸作用が促される。ということにも触れています。様々な健康効果がうたわれているヨーグルトですが、現在もまだ分からないことが多いということです。

 

Aヨーグルトが体にいい理由
健常な成人男女8人を対象に、ヨーグルトや乳酸菌飲料を継続的に摂取した時の腸内フローラの変化を調べた。一日3回プレーンヨーグルトを130gづつを2週間にわたって摂取してもらったところ、糞便中のビフィズス菌が増加し、ウエルシュ菌などの悪玉菌が有意に低下した。また、糞便中の有害物質(フェノール類、インドール、硫化水素など)も同じく有意に低下し、ペーハーもアルカリから酸性に変化する傾向がみられた。

 

B免疫活性という新しいキーワード
現在学会で認められているプロバイオティクスの働きと効用

  1. 腸内フローラの改善作用
  2. 下痢の改善と予防作用
  3. 感染防御作用(日和見感染症の防御も含む)
  4. 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)の改善作用
  5. 免疫活性作用(アレルギー疾患の緩和も含む)
  6. 発がん抑制作用

これらの効用は互いに連動しながら生体内で作用するものですが、5の免役に対する活性作用です。腸は消化管であると同時に、生体防御=免疫の要にあたる重要な器官であることが近年の研究で明らかになっていますが、腸内の乳酸菌・ビフィズス菌にはこの腸内の免疫機能(腸管免疫)を高める物質が含まれていると考えられるからです。これは、死菌でも変わらない効果が得られるため、生きた菌や酵母のことを指しているプロバイオティクスの定義に当てはまりません。もちろん、食物繊維やオリゴ糖のような栄養成分(物質)でもありませんから、プレバイオティクスでもありません。どちらにも含まれない事実が判明したため「バイオジェニックス」という新しい概念を提案するようになった。つまり、ヨーグルトなどの発酵乳・乳酸菌飲料に対して語られてきた「生きた菌によって腸内フローラが改善される」というプロバイオティクスの働きは、「腸管免疫を刺激することでその効果が全身に波及する」バイオジェニックス的な発想から捉えなおす必要がるということです。

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